55歳、シングルファーザー。長年、仕事と子育てに追われ、自分のことは後回しにしてきた。

気がつけば子どもは独立し、家には自分一人だけ。

ふとした瞬間に感じる寂しさが、再び「誰かと人生を分かち合いたい」という気持ちを呼び覚ました。

「もう一度、人生のパートナーを見つけよう」

離婚してから十数年。

恋愛をする余裕などなく、気づけば50代半ば。

周りの友人たちは夫婦で旅行を楽しんだり、老後の話をしていた。

 

「自分も誰かと穏やかな時間を過ごしたい」。そう思いながらも、

婚活に踏み出すのは勇気が必要だった。

 

まずは、婚活アプリを試してみた。

 

しかし、若い頃とは違い、プロフィールを作るだけでも一苦労。

「55歳、会社員、趣味は読書と散歩…」平凡な自己紹介に、

これで誰か興味を持ってくれるのか不安が募る。

 

メッセージを送っても、なかなか返信が来ない。

婚活の厳しさを実感した。

 

 

次に試したのは、50代・60代向けの婚活パーティー。

会場に足を運ぶと、意外にも活気に満ちていた。

女性も同年代の方が多く、落ち着いた雰囲気だ。

 

「初めまして、よろしくお願いします。」

緊張しながらも自己紹介をしていく。

 

しかし、会話の流れが難しい。

相手が何を求めているのか、どんな話題が良いのか手探り状態だっ

た。「元気で明るい方がいい」「経済的に安定している人が理想」と

いった女性の本音を聞くたびに、自分はどう見られているのか

不安になった。

 

そんな中、ある女性と意気投合した。

 

彼女もシングルマザーとして子育てを終え、同じような経験をしてき

た人だった。

 

共通の話題で盛り上がり、自然と笑顔がこぼれた。

「この人となら、また新しい人生を歩めるかもしれない」

そう感じた瞬間だった。

 

 

婚活パーティーの後、彼女と連絡を取り合い、何度か食事を重ねた。

お互いの過去やこれからの人生について語り合う時間が増えていく。

「もう一度、人を愛してもいいのかもしれない」

そう思えるようになった。

 

しかし、長年一人で生きてきたせいか、恋愛の仕方がわからなくなっ

ていた。

 

デートのプランを立てるのも、気の利いた言葉を

かけるのもぎこちない。

 

それでも、彼女はゆっくりと寄り添ってくれた。「無理しなくていい。

一緒にいるだけで嬉しいよ」と。

 

その言葉に、肩の力が抜けた。「もう一度、誰かを大切にしながら生きていこう」

そう決意した。

 

 

交際を続ける中で、二人の関係は少しずつ深まっていった。

子どもたちにも紹介し、お互いの家族とも良い関係を築くことが

できた。

そして、交際から一年後      彼女と結婚を決めた。

 

「人生の後半戦を、一緒に楽しんでいこう」

 

55歳からの婚活は決して楽な道ではなかった。

 

それでも、一歩踏み出せば、また新しい出会いがあり、

心が通じ合う瞬間がある。「遅すぎることはない」そう実感した。

 

 

今、彼はパートナーと共に、新しい人生を歩み始めている。

 

 

「55歳だから」「シングルファーザーだから」と婚活を諦める

必要はない。

大切なのは、一歩踏み出す勇気と、自分らしくいられる相手を

見つけること。

新しい出会いは、あなたの人生を豊かにしてくれるかもしれない。

 

もし、婚活に悩んでいるなら、まずはできることから始めてみよう。

未来には、きっと素敵な出会いが待っている。